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頭痛外来

頭痛外来とは

頭痛外来とは

頭痛は広く一般的な症状の一つであり、多くの人が一度は経験があります。しかし、医療現場では正確な診断を行うことが簡単ではありません。
通常、頭痛は鑑別しやすいものとそうでないものに分かれます。緊急性が高く危険な頭痛を特定するのは当然ですが、鑑別が容易な頭痛は安全だと誤解されがちです。しかし、実際には逆であり、鑑別が容易な頭痛が危険な頭痛であり、緊急に治療が必要であることがよくあります。緊急性のない頭痛でも、痛みを伴うものはさまざまであり、これらの頭痛の症状を理解することが、正確な診断、検査、治療には欠かせません。事実、これらの頭痛は最も鑑別が難しいものの一つです。
患者様の既往歴が十分に明らかで、明確な診断が可能な場合もありますが、通常は複雑な既往歴から解明し、検査し、治療にのぞむ必要があります。
単なる頭痛であっても、それは患者様にとっては大きな問題です。当院の頭痛外来は、「笑顔で帰れるような頭痛外来」を目指し、患者様とともに治療を進めてまいります。


頭痛の種類

頭痛は「一次性」と「二次性」の二つに大別されます。二次性頭痛は、くも膜下出血や頭部外傷など、何らかの疾患や外傷が原因で発生するものです。一方で一次性頭痛は、特定の疾患や外傷が原因ではなく、頭痛自体が疾患となるものです。一次性頭痛は、さらに片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛に分類されます。


慢性的な頭痛(一次性頭痛)とは

片頭痛(偏頭痛)

主に女性に多く見られ、安静が必要な頭痛です。典型的な片頭痛は、頭の左右どちらかが拍動するようにズキズキと痛むのが特徴です。片頭痛の診断基準としては、中程度から重度の頭痛であり、動くことで悪化し、持続時間は4時間から72時間にわたるとされています。
また、頭痛が始まる前に前兆があるか、めまい感を伴うか、片麻痺を併発するかなどの特徴によっても判別されます。
普段経験している頭痛がこれらの特徴に合致するかどうかを検討してみてください。もし片頭痛の可能性が高い場合は、片頭痛用の治療薬が有効な場合があります。また、小児の片頭痛は通常、両側に起こるとされているため注意が必要です。

薬物療法

❶頭痛発作を抑える薬

  • エレトリプタン(®レルパックス)錠剤
  • ソマトリプタン(®イミグラン)錠剤・点眼薬
  • ゾルミトリプタン(®ゾーミック)錠剤
  • ナラトリプタン(®アマージ)錠剤
  • リザトリプタン(®マクサルト)錠剤

❷頭痛を予防する薬

  • アミトリプチリン塩酸塩(®トリプタノール)錠剤
  • カルシウム拮抗剤のロメジリン(®ミグシス、®テラナス)錠剤
  • バルプロ酸(®セレニカ、®デパケン)錠剤
  • β遮断薬のプロプラノロール(®インデラル)錠剤

❸月1回注射の予防薬

  • エムガルティ
  • アジョビ
  • アイモビーグ
 

生活習慣の是正

  • ストレスを減らす(緊張をほぐす)
  • 睡眠時間を十分にとる
  • 日常生活での刺激を避ける(光や音、匂いなど)
  • 食生活を改善する(アルコールやチーズ、チョコレート、ピーナッツなどを避ける)

緊張性頭痛

最も一般的な頭痛の一つであり、頭痛の半数がこのタイプと考えられます。悪い姿勢やコンピューターやテレビゲームなどの影響による筋肉の緊張が主な原因です。一般的な症状には、後頭部中央の鈍い痛み、こめかみの締め付け感、頭の重さが挙げられ、時折、ズキズキとした激痛を伴うこともあります。
この種の頭痛に対する治療は、対症療法が一般的で、マッサージや肩を温めることで症状が軽減されることがあります。また、日常生活での姿勢の改善も有効です。薬物治療が必要な場合は、一般的な鎮痛剤を内服します。
さらに、予防のためには抗うつ薬、筋弛緩薬、または漢方薬(鈞藤散、葛根湯、麻黄湯など)が用いられることもあります。

片頭痛と緊張性頭痛の違い

筋緊張性頭痛では、一度の発作は通常30分から7日間続き、頭の両側が同時に圧迫感や締め付け感を呈し、拍動性(血管の拍動に連動したズキンズキンとした痛み)は見られません。さらに、片頭痛と異なり、歩行や階段昇降によって症状が悪化することや吐き気、光や音に対する過敏性などのような症状は見られません。

群発頭痛

群発頭痛

男性に多く見られる傾向がある頭痛です。この痛みは突然発生し、目の周りに強い痛みが広がり、ほぼ毎日続くという特徴があります。痛みの持続時間は15分から180分までと幅広く、一度始まると継続的に痛みが出現します。通常は同じ時間帯に毎日痛みが現れますが、ある一定期間が経過すると症状が一時的に治まります。ただし、毎年同じ時期に再発することがあり、この時期が近づくと事前に薬を用意して備える方も多いです。
群発頭痛は三叉神経自律神経性頭痛(TACs:trigeminal autonomic cephalalgias)に分類され、片側の酷い頭痛発作に同じ側の自律神経症状が伴う一次性頭痛です。原因はまだ解明されていません。他にも、三叉神経自律神経性頭痛には発作性片側頭痛(片頭痛とは別物です)、短時間持続性片側神経痛用頭痛発作(SUNCT/SUNA)、持続性片側頭痛などが含まれます。これらの疾患は痛みの発生部位や自律神経症状には共通点がありますが、痛みの強さや持続時間、発生頻度などが異なります。
群発頭痛の痛みは主に前頭部や眼窩部に広がります。同時に、目が潤んで涙が出たり、結膜が充血したり、鼻水が出たり、鼻が詰まったりする自律神経症状も痛みの発生時に同側で見られます。
群発頭痛は比較的男性に多い傾向があり、痛みの発作が連続している特徴的な点は三叉神経痛と類似していますが、群発頭痛にはない「不応期」と呼ばれる、痛みが発生しない期間があるという特徴があります。この不応期は三叉神経痛に特有のもので、痛みの直後にしばらく痛みが発生しない時間帯を指します。群発頭痛は連続して痛みが発生し、一日に0.5〜8回の発作が集中する傾向があります。また、痛みがある際にはイライラや興奮が見られることもあります。

薬物乱用頭痛

鎮痛薬の過剰摂取による頭痛であり、服用の中止によって改善されるはずですが、これは容易なことではありません。頭痛の原因は薬物の過剰摂取であるにもかかわらず、頭痛が発生すると薬を摂取してしまうという負の連鎖が生まれるためです。主治医との相談を通じて、生活習慣などを共有しながら一歩ずつ克服していくことが大切です。

薬物乱用頭痛の特徴(症状)

  • 月に15日以上頭痛が発生する
  • 月に10回以上頭痛薬を服用している
  • 頭痛薬の効果が薄れてきた
  • 朝起きると頭痛がある
  • 頭痛薬を飲んでも頭痛が悪化する
  • 頭痛の強さや発生箇所が以前と異なることがある
  • 月に数回片頭痛があり、それを機に薬を服用し始めた
  • 強い頭痛を経験して以来、予防的に市販薬を服用している

市販薬も注意が必要です

  • エルゴタミン製剤(クリアミンなど)
  • 消炎鎮痛剤(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)
  • トリプタン製剤(イミグラン、ゾーミッグ、マクサルト、レルパックス、アマージ)

最も一般的な原因物質は、抗炎症鎮痛薬(NSAIDs;一般に市販されている鎮痛薬)です。また、エルゴタミン系薬剤、トリプタン系薬剤、麻薬など、片頭痛の治療に用いられる他の薬剤でも頭痛を誘発することがあります。
中でもトリプタン系薬剤は、服用頻度が少なく短期間であっても、薬物乱用性頭痛を特に起こしやすいと言われています。また、複数の鎮痛成分を含む合剤も危険とされています。
このような症例は、専門医を受診せず、市販の頭痛薬を使い続けている長期の頭痛患者様によく見られます。自己判断で頭痛薬を飲み続けていると、次第に頭痛の頻度が増え、症状も重くなります。


脳の疾患による頭痛(二次性頭痛)

二次性頭痛は、脳卒中や脳腫瘍など脳に関連する疾患が引き起こす頭痛を指します。この種の頭痛を放置すると、命にかかわるリスクや深刻な後遺症が発生する場合があります。
雷鳴頭痛は、過去に経験したことのないほど激しい頭痛を指し、これが発生すると特に注意が必要です。雷鳴頭痛の最も一般的な原因は以下の6つです。

  • くも膜下出血
  • 未破裂脳動脈瘤
  • 頭蓋内動脈解離
  • 可逆性脳血管攣縮症候群
  • 下垂体卒中
  • 脳静脈血栓症

頭痛に加えて、次のような症状がある場合も、ただちに医師の診察を受ける必要があります。

  • 左右どちらかの手足にしびれや脱力がある
  • ろれつが回らない、言葉が不明瞭になる
  • 視界が二重になる
  • めまいやふらつきがある
  • 歩行ができない
  • 意識の喪失
  • けいれん

また、普段とは違う頭痛を感じたら、念のため頭部検査を受けることをお勧めします。
頭痛が引き金となった脳疾患を早期に発見できれば、手術が不要になる可能性が高くなり、重篤な後遺症のリスクも軽減されます。当院では、できるだけ早くMRI検査を受けていただけるよう手配いたします。お気軽にご相談ください。

脳動脈解離

血管の一部が剥がれることを解離といい、解離には強い解離通を伴います。この痛みは、剥離した血管の近くで強く感じられます。日本人は後頭部にある椎骨動脈と呼ばれる血管の解離が一般的であり、その結果後頭部の痛みに悩まされることがあります。
血管は主に内膜、中膜、外膜の三層構造を持ち、これらの膜は互いに密着しています。しかし、何らかの原因により内膜と中膜の間、または中膜と外膜の間に血液が侵入し、膜が破れることがあります。この現象は、解離痛を引き起こすだけでなく、破裂した血管によって血流が遮断され、脳梗塞を引き起こす可能性があるほか、破裂した血管が外膜に達するとくも膜下出血を引き起こすことがあり、非常に危険です。診断にはMRIが有用となっています。

くも膜下出血

くも膜下出血は、動脈瘤などで血管が破れ、この部分に出血が広がる疾患です。脳そのものを包んでいる膜に「くも膜」があり、脳の血管はこの膜の内側を通っています。くも膜下出血は動脈瘤などが原因で血管が破裂し、この部分に出血が広がる疾患です。
突然激しい頭痛が起こり、痛みの後に吐き気や嘔吐、意識障害が起こることが多く見られます。出血を繰り返すリスクが高いため命に関わる疾患であり、手術などの出血に対する治療を行ったとしても、その後に重い後遺症が残ることが多いことがわかっています。
くも膜下出血の約90%は脳動脈瘤の破裂によるもので、早急に適切な治療が必要になります。脳動脈瘤自体はすぐには発生しないので、MRI検査で脳の血管を調べることで早期に発見することができます。脳動脈瘤がある程度の大きさまで膨らんでいる場合は破裂のリスクが高く、その場合は破裂前に適切な治療を行うことでくも膜下出血を未然に防げます。

くも膜下出血

脳出血

脳出血は、脳に栄養を供給している細い動脈が、急に破裂することによって発生します。
ほとんどの場合、急激な頭痛が生じ、短時間でどんどん悪化します。脳出血が引き起こす症状は、出血が脳のどの部位で発生したかによって異なります。たとえば、言葉が出にくくなる、体の半分が麻痺したりしびれたりします。脳出血の程度によっては、吐き気、嘔吐、めまいなどの症状が見られ、深刻な場合には意識障害や呼吸状態の悪化なども見られます。
脳出血の主な原因は高血圧と関連しており、高血圧の裏には生活習慣病による動脈硬化が絡んでいます。特に起床時の血圧が高い方、感情の起伏が激しい性格の方、入浴時、排便時に力を入れるすぎた時などが出血を起こしやすく、脳出血を誘発することがあります。

脳出血

脳腫瘍

脳を構成する細胞から腫瘍が発生することがあり、脳腫瘍と総称されます。
脳腫瘍には良性のものから悪性のものまであり、脳腫瘍の種類や部位によって、神経麻痺、会話不能、平衡障害などの症状やその後のリスクに大きく影響します。
脳腫瘍による頭痛の主な特徴は、頭が重い感じがすることと、鎮痛剤を飲んでもあまりよくならない頭痛が続くことです。また、腫瘍が大きくなると、朝方に痛みがあり、嘔吐を伴うが、嘔吐後は楽になるという特徴があります。
良性の脳腫瘍は成長が遅いので頭痛が起こりにくいのですが、悪性の脳腫瘍は成長が早いので頭痛の症状が出やすくなります。また、肺がんや乳がんなど体内のがんが脳に転移し、徐々に大きくなることで頭痛として発見されることもあります。また、頭痛以外の症状(言動がおかしい、会話が成り立たない、手足の麻痺など)がある場合は、脳腫瘍の可能性がありますので、早めに頭部CT・MRI検査を受けましょう。


花粉症で頭痛がする…?

頭痛と花粉症は密接に結びついており、花粉症患者様の多くが頭痛を訴えて来院されます。頭痛の症状は前頭部の圧迫感や目の奥の痛み、また顔面の不快感などがあり、これらの症状からは緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経痛などと考えられます。花粉症は植物の花粉が引き金となるアレルギー反応で、特にスギ花粉症が約70%を占めます。花粉症の典型的な症状は鼻炎の症状で、目のかゆみや充血もあります。また、全身に広がる様々な症状が見られ、頭痛を訴える患者様には頭部CT検査の結果、副鼻腔炎が原因であることが判明することがあります。花粉症が進行してから治療を始めると薬の効果が低くなり、症状の改善が難しくなります。近年では花粉が飛散する2週間ほど前から薬物療法を開始する初期治療が推奨されているため、お早めに当院までご相談ください。