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目の奥が痛い

目の奥が痛くなる疾患

頭部の前側に痛みがある場合、その原因として考えられる疾患は次のとおりです。

片頭痛

典型的な症状としては、頭のどちらか一方に拍動性のズキンズキンとした痛みが現れます。このほか、中等度から重度の頭痛であり、動かすことによって悪化するという特徴があります。片頭痛の診断基準には、痛みの持続時間が4時間から72時間であることも含まれます。また、頭痛が発生する前に典型的な前兆として閃輝暗点が現れる場合もあれば、そうでない場合もあります。さらに、片頭痛発作時のめまいの有無や片麻痺を伴うかどうかなどの特徴によって病名を識別します。
片頭痛の発作時には、吐き気や嘔吐、光や音、臭いに対する敏感さが伴うことがあり、患者様の多くは暗くて静かな場所で寝込むという特徴もあります。
普段経験する頭痛がこれらの特徴に合致するかどうかを検討してみてください。片頭痛の可能性が高い場合、片頭痛用の薬によって改善するかもしれません。なお、小児の片頭痛では両側性の症状が多いことに注意する必要があります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛とは、左右の前頭部が締め付けられるような痛み、あるいは頭に重いものが乗っているような痛みのことをいいます。緊張型頭痛は最も一般的な頭痛の一種で、頭痛全体の約60%を占めます。緊張型頭痛の生涯有病率は30%から78%で、多くの方がこのような頭痛を経験しています。肩こりや首のこりが原因となることが多いのですが、痛みの原因は未だ解明されていません。
痛みには市販の鎮痛薬や頭痛薬が有効であるほか、頭痛体操やマッサージもこの頭痛には有効である場合が多いです。片頭痛と違って体を動かすことが可能で、筋肉の緊張がほぐれると痛みも軽減します。しかし、デスクワークが多かったり、スマートフォンを見る時間が長かったりすると、姿勢が固定され、首の周りの筋肉の動きが悪くなり、症状が悪化します。頭痛体操などの運動療法が有効ですが、継続が難しい場合は内服治療が中心となります。
ただし、鎮痛剤の飲みすぎは薬物乱用頭痛のリスクがあるので、頭痛が長期間続く場合は予防療法と他の治療法を併用していく必要があります。

群発頭痛

群発頭痛とは突然に発生する頭痛です。目の周りに強い痛みが広がり、毎日続く特徴があります。痛みの持続時間は15分から180分まで幅広く、一度始まると継続的に痛みが出現します。通常は同じ時間帯に毎日痛みが現れますが、ある一定期間が経過すると症状が一時的に治まります。ただし、毎年同じ時期に再発することがあり、この時期が近づくと事前に薬を用意して備える方も多いです。
群発頭痛は三叉神経自律神経性頭痛(TACs:trigeminal autonomic cephalalgias)に分類され、片側の酷い頭痛発作に同じ側の自律神経症状が伴う一次性頭痛です。原因はまだ解明されていません。他にも、三叉神経自律神経性頭痛には発作性片側頭痛(片頭痛とは別物です)、短時間持続性片側神経痛用頭痛発作(SUNCT/SUNA)、持続性片側頭痛などが含まれます。これらの疾患は痛みの発生部位や自律神経症状には共通点がありますが、痛みの強さや持続時間、発生頻度などに違いがあります。
群発頭痛の特徴的な痛みは主に前頭部や眼窩部に広がります。同時に、目が潤んで涙が出たり、結膜が充血したり、鼻水が出たり、鼻が詰まったりする自律神経症状も痛みの発生時に同側で見られます。
群発頭痛は比較的男性に多い傾向があり、痛みの発作が連続している特徴的な点は三叉神経痛と類似していますが、群発頭痛にはない「不応期」と呼ばれる痛みが発生しない特徴があります。この不応期は三叉神経痛に特有のもので、痛みの直後にしばらく痛みが発生しない時間帯を指します。群発頭痛は連続して痛みが発生し、1日に0.5〜8回の発作が集中する傾向があります。また、痛みがある際にはイライラや興奮が見られることもあります。

眼科疾患(急性緑内障発作)

突然の眼痛、頭痛、吐き気は急性緑内障発作の可能性があります。これは、ある原因により閉塞隅角緑内障が発症し、眼圧が急激に上昇することで、眼痛、頭痛、吐き気などの症状が現れている状態です。急性緑内障発作は、突然激しい頭痛が起こるため、脳卒中(くも膜下出血など)の症状と誤解される場合があります。脳卒中ではないというだけでは緑内障発作の診断に至ることが難しいため、頭痛の診断に時間がかかり、緑内障治療が遅れることがあります。治療が遅れると失明の危険もあるため、一刻も早い診断と治療が必要です。


目の奥が痛い場合はすぐに受診を

目の奥の痛みがある場合、それは脳卒中などの深刻な疾患の可能性があるため、早急に脳神経外科を受診し、頭部CT検査を受けることが推奨されます。脳卒中が否定され、眼圧が上昇していることが確認された場合、緑内障の発作の可能性が高いため、眼科での治療をご紹介します。病状が急を要する可能性が高いため、ためらわずにご相談ください。


顔が痛くなる疾患

三叉神経痛(さんさしんけいつう)

顔の片側に痛みが出る場合は、三叉神経痛が疑われます。三叉神経は主に顔面の感覚を司る神経で、額(前額部)から顎(下顎部)、口腔までの領域を制御しています。そのため、この神経による痛みは顔面部に限られ、鋭い痛みが特徴です。
痛みは主に刺すような激しいもので、顔面、額、下顎、口腔で感じられます。特に口腔や下顎で痛みが生じる場合、しばしば虫歯と混同され、まず歯科治療が必要となります。他の症状には、しびれや灼熱感などが含まれます。ほとんどの場合、症状は顔の片側に制限され、痛み以外の他の症状はほとんど見られません。
三叉神経痛が強い場合、食事時の噛み砕くこと、顔を洗うこと、歯を磨くこと、ひげを剃ることなどが困難になり、日常生活に支障をきたすことがあります。
典型的な三叉神経痛は、脳の血管が敏感な部分に接触することで引き起こされます。この敏感な部位は限定的ですが、加齢や脳内の血管の変化により、血管がわずかにずれて接触し、痛みが発生することがあります。
その他の原因としては、三叉神経周辺やその周囲に脳腫瘍が発生したり、多発性硬化症に罹患したりすることも考えられます。

脳卒中・髄膜炎・脳炎

脳への血流に異常が生じる疾患は総じて脳卒中と呼ばれ、大まかに2つの分類に分けることができます。一つは血液の流れが途絶える脳梗塞であり、もう一つは血管が破れて出血を引き起こす脳出血です。特に、動脈瘤が破裂して発生するくも膜下出血は極めて重篤な状態とされています。
これらの疾患は突然発生し、発症部位によって症状が異なりますが、一般的なものとしては急激な手足の麻痺、言葉の喪失、重篤な場合は意識の喪失などが挙げられます。脳卒中を経験する人々の多くは、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を抱えています。これらの疾患は動脈硬化を促進し、脳卒中のリスクを高める要因となります。
脳卒中の原因により、治療法が異なります。脳の血管が詰まる場合は脳梗塞となり、血液の流れ改善が必要です。一方で、脳の血管が破れて出血した場合は脳出血やくも膜下出血となり、出血の抑制が必要です。頻度としては、脳梗塞が最も一般的で、脳卒中の約70%を占めます。
症状が頭痛だけの場合もありますが、頭痛以外にも、意識障害、手足の麻痺、言語障害、血圧上昇、発熱など他の症状が同時に現れる場合、脳炎や髄膜炎も疑われますので、早めに検査を受けることをお勧めします。
脳炎や髄膜炎は、ウイルスなどの影響で脳全体に炎症が起こり、それに伴って頭痛や発熱、吐き気などの強い症状が現れます。さらに、首を前に曲げると痛みが生じる髄膜刺激症状も見られます。これらの炎症が脳全体に影響を与える場合は脳炎と呼ばれ、脳を包む髄膜に炎症が生じる場合は髄膜炎とされます。感染性の場合もあれば、感染を伴わない非感染性の原因によることもあります。初期症状としては頭痛が起こりますが、進行すると重篤な神経症状が発現し、後遺症としてけいれん発作や意識障害が生じることがあります。早期の原因の特定とそれに対する治療が大切です。

脳卒中

副鼻腔炎、歯性上顎洞炎

副鼻腔炎は、蓄膿症としても知られ、鼻の周りの空洞である副鼻腔が細菌、ウイルス、アレルギーなどによって引き起こされる炎症の疾患です。この部位に炎症が生じると、鼻粘膜が腫れ上がり、鼻水や膿がたまり、鼻づまり、頭痛、歯痛、頬や額などの痛み、発熱などの症状が現れます。治療は抗炎症薬や抗生物質の内服から始められますが、改善が見られない場合や症状が長期にわたって続く場合は、耳鼻咽喉科で治療を受ける必要があります。
歯性上顎洞炎は、上顎の歯根部に生じる炎症です。特に上奥歯は歯根が上顎洞の底面に近いため、虫歯や歯周病が進行するとこの部位の炎症が上顎洞に広がり、上顎洞炎として知られる副鼻腔炎を引き起こすことがあります。また、上奥歯の根の治療中にも発生することがあります。歯が原因で上顎洞炎になる場合、原因となる歯は抜歯の必要性が高まります。
この状態に伴う症状には、原因となる歯がある片側に生じるズキズキとした痛みや、頬の腫れ、頭痛、鼻詰まり、嗅覚異常、目の下の痛みなどが挙げられます。慢性上顎洞炎の場合、急性の症状と同様なものも見られることがありますが、症状は軽く、自覚症状が少ないこともあります。

帯状疱疹

帯状疱疹は水ぼうそうと同一のウイルスによって引き起こされる皮膚病で、水ぼうそうの際に神経に感染し、何らかの刺激でその神経に沿って再活性化します。通常、体の左右いずれかの原因となる神経に沿って、帯状に広がる多数の痛みを伴う赤い発疹や水疱が現れるため、「帯状疱疹」と呼ばれています。症状の多くは上半身の片側に出現し、時には顔の目の周りにも広がります。
帯状疱疹が発症すると、原因となる神経の経路に痛みが生じ、その後に皮膚症状が現れます。ピリピリと肌を刺すような痛みが続き、時には夜間も眠れないほどの痛みに襲われることがあります。通常、皮膚の症状が治まると痛みも和らぎますが、神経の損傷により、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる痛みが残ることがあります。
帯状疱疹が発生する部位によっては、角膜炎、顔面神経麻痺、難聴などの合併症が生じることがあり、注意する必要があります。特に高齢者では免疫機能の低下が原因で発症リスクが増加します。50歳代からの発症率が高まり、80歳までには約3人に1人が帯状疱疹を経験するとされています。最近ではこの年代の方にもワクチン接種が推奨されています。
これらの疾患が疑われる場合は、可能な限り早期に治療することが大事で当院による処方による治療とともに、その後眼科、耳鼻科、皮膚科などの専門医療機関をご紹介します。